金子金五郎語録(7)

新手の意味は棋士によってもっと拡げて「受けの手でも新手は新手」といえるかもしれないが、「升田は主導権を本に対手を支配する意味を含んだものが新手である」と主張していることに注意せねばならない。これは氏の個性の"厳しさ"を物語る。また"厳しさ"と…

金子金五郎語録(6)

升田のような将棋を内面の自己闘争のうちに解決して行こうとする方法は無限に深い道で、これは苦行にも等しい。対手の着手という現実に即応することをすくなくし、自分の頭脳の中で敵の手を造ることは、もはや「敵」でなく「自分の化身」になる。自分の化身…

金子金五郎語録(5)

大山名人の将棋が育った時は関西将棋が関東将棋の合理性を取り入れ、自己のものに消化すべく努力した革命期の時代で、その結晶が升田、大山の将棋である。 この消化――というよりむしろ逆に関東将棋を征服し終って――さらにそれが全棋界の主流となり、そこに東…

棋聖戦第五局のウェブ観戦記を書きに行きます。

以前ブログで、 昨年の棋聖戦は第一局佐藤先勝。前々から予定を立てていたわけではなかったので、二勝二敗で第五局・最終局まで行ったのに、観戦のために日本に来ることができず、無念に思っていました。 今年も大熱戦で最終局まで行くことを祈念しつつ、も…

米長邦雄の現代将棋論: 不動駒と「ピストルの撃ち合いのごとき将棋」

書評を寄稿した関係で「週刊現代」最新号の米長邦雄・将棋コラムを読む機会を得た。ホームページ「米長邦雄の家」の「将棋の話」でも、「どうも近頃の将棋は分からないことが多いです。」で始まり「矢倉は純文学と言った棋士も居ました。今では死語というか…

「潮」8月号(7月5日発売)に、「シリコンバレーから将棋を観る」著者インタビューが掲載されました。

「ビジネスを引退したら、老後の楽しみに将棋の観戦記を書いてみたいなとは思っていました。自分の人生でいつか起きたらいいなと思うことが、去年、僕の身に起きた。この本は"僕自身の幸福"に密接に結びついています。」 ・・・・・

将棋ペンクラブ大賞(第21回)最終選考候補作(文芸部門)に、「機会の窓を活かした若き竜王」が選ばれました。

http://silva.blogzine.jp/blog/2009/06/post_34e9.html によれば、第21回将棋ペンクラブ大賞の対象は「2008年4月1日から2009年3月31日に発表された作品」とのことで、「シリコンバレーから将棋を観る」は4月25日発売だったので対象外。よって今年は関係ない…

金子金五郎語録(4)

誘導した局面が実現したこと、かならずしも、有利とはいえない。誘導される側には、それが自分にとっても、ある程度の見通しがあるから、誘導されるのである。その両者の見通しの根本(ねもと)には大局観という"直感"がある。その直観力がすなわち強弱の差な…

金子金五郎語録(3)

升田氏の将棋は、よく芸術品だといわれたし、自身でもそれを口にした時代があった。じっさい自分の設計した路線の内へ、相手を必ず引き入れてしまうまで、ヨミをしぼって行く。その鮮烈さは芸術といっていいかもしれない。もちろん、こうした指し方の終点は"…

朝日新聞の奥泉光氏による「シリコンバレーから将棋を観る」書評がネットでも読めるようになりました。

http://book.asahi.com/review/TKY200907070111.html

「日経ビジネス」7月6日号に、米倉誠一郎氏による「シリコンバレーから将棋を観る」書評が掲載されました。

「シリコンバレーから将棋を観る」のアマゾンでの順位が、日曜日の朝日新聞書評掲載後に書籍総合56位まで上がりました。ただ、実はその前日の土曜日から順位がかなり上がっていたそうで、なぜだろう、何があったんだろう、と不思議に思っていましたが、この…

金子金五郎語録(2)

将棋というものは、二人の別々な力がぶつかる場所である。だが、それだけのものではなくて、二人の将棋が一体のものとなって、とけあっている一つの有機体でもある。名局とは、その極致の謂(いい)であって、音楽にたとえれば、最高の人々によってなされる交…

「週刊現代」7月6日発売号に、「勝ち続ける力」(羽生善治+柳瀬尚紀)書評を寄稿しました。

一週間前に書いたエントリー(http://d.hatena.ne.jp/modernshogi/20090628/1246203893)でちょっと触れた「勝ち続ける力」(羽生善治+柳瀬尚紀)について書いた書評は、「週刊現代」7月6日発売号に掲載されます。

朝日新聞7月5日付朝刊に、奥泉光氏による「シリコンバレーから将棋を観る」書評が掲載されました。

どうぞご一読ください。奥泉光氏も「指さない将棋ファン」で「プロ将棋の観戦が趣味」だったのですね。 ネットでもこの書評が読めるようになったら、また改めてお知らせします。

「勝ち続ける力」(羽生善治+柳瀬尚紀)

本書の発売と同時に一読はしたのだが、某誌より書評依頼があり(掲載時に改めてお知らせします)、ここ数日精読していた。対話者・柳瀬尚紀さんが20年に及ぶ親交によって築いてきた羽生さんとの信頼関係ゆえに、羽生さんの新しい言葉にたくさん出合うことがで…

金子金五郎語録(1)

"時の将棋"はもっとも活きているものである。この活き物の根本をつかむには自分の個性(棋風)で時の将棋に体当りする道しかない。心の踏み込みの深さ、深度というものが大切である。青年棋士が一様にその時の将棋をつかむことが速いという事実は、青年は自然…

「将棋ファン」カミングアウト

こういう感想を読むと、本を書いてよかったなと思います。 梅田望夫さんが、将棋に関する本を書いたおかげもあり、私の中で、再度、将棋ブームが来ています。 (梅田さんの著作の中にもありましたが、「将棋ファン」であることをカミングアウトできるような…

金子金五郎再発見の輪

「lovingshogi・爛柯録」さんが、金子金五郎を読み始め、その感想がブログに書かれている。金子再発見の輪が広がり嬉しい限りだ。 「いろいろ」http://ameblo.jp/lovingshogi/entry-10282164688.html ・・・ 『近代将棋』1971年2月号のみを入手す。 梅田望夫…

「中央公論」2009年7月号に瀬名秀明氏による「シリコンバレーから将棋を観る」書評が掲載されています。

どうぞご一読を。

JBPress掲載: イノベーションはなぜ起きたか 「指さない将棋ファン」がとらえた現代将棋の「もっとすごい」可能性 著者インタビュー 梅田望夫氏

イノベーションはなぜ起きたか(上) http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/1216 イノベーションはなぜ起きたか(下) http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/1235参考: 「JAPAN ECHO」誌インタビュー、日本語版の「JBPress」への掲載 http://d.hatena.ne.j…

朝日新聞・平和博氏の書評

「シリコンバレーから将棋を観る」を読む https://aspara.asahi.com/blog/netnowplus/entry/SiWZXJaZKr

棋聖戦ウェブ観戦記を補足する(3) 勝利を確信するとき

羽生棋聖は、新潟での棋聖戦第一局終局後のコメントで、こう語った。 「△4四銀(138手目)と上がって、行けるかなと思いました」(http://sankei.jp.msn.com/culture/shogi/090609/shg0906091932010-n1.htm) この将棋は142手で終局しているから、最終手の…

棋聖戦ウェブ観戦記を補足する(1) たまたま同じ局面

(4) 必見、新たなる急戦矢倉の展開 http://kifulog.shogi.or.jp/kisei/2009/06/4-fd1e.html で紹介した渡辺明ブログ(http://blog.goo.ne.jp/kishi-akira/e/54c62462648a475502e3adc989034ff8)のこの言葉。 5月29日の王位リーグ▲渡辺−△羽生名人では△5三銀…

日本経済新聞6月14日付朝刊「羽生善治、知識人を触発 ネット時代のお手本に」

日経文化部・神谷浩司氏による記事「羽生善治、知識人を触発 ネット時代のお手本に」(「活字の海で」欄)で、羽生さんをめぐる最近の著作の一冊として、「シリコンバレーから将棋を観る」が紹介されました。どうぞご一読ください。

棋聖戦ウェブ観戦記を補足する(2) 割れる大局観

棋聖戦第一局で最大の見どころは、トッププロたちの大局観がこの将棋をめぐって真っ二つに割れたことだった。 (7) 揺れ動く局面、割れる大局観、そして膠着状態か http://kifulog.shogi.or.jp/kisei/2009/06/7-0962.html だけでは、その面白さ、興奮が十分に…

B級2組開幕戦 ▲先崎学八段△飯塚祐紀六段

棋士たちとの個人的な付き合いが始まるまで、中堅棋士の将棋を並べるということを、あまりきちんとしたことがなかった。最近でこそ中継が充実してきたからA級以外の将棋にも簡単な解説がつくようになったけれど、それ以前はなかなか解説付きの中堅棋士の棋譜…

竜王戦1組5位は松尾七段に。そして竜王戦決勝トーナメント進出者が決定。

昨日の竜王戦1組5位を決める佐藤康松尾戦は松尾七段勝利の模様。まだ決勝トーナメント表は発表されていないが、去年と同じ構造であれば、左の山に、稲葉、豊島、田中寅、松尾、久保、深浦。右の山に、羽生、森下、片上、森内、高橋。ということになる。 左の…

「先駆者発掘の道具」としてのGoogle

昨日勝又清和六段とtwitterで話した内容をアップしたが、現代将棋のさまざまな新しい形のルーツをたどる研究をする勝又さんは「どの戦法を調べてもそこには必ず「羽生」の名前が」とつぶやいていた。 羽生は、新刊(柳瀬尚紀との共著)「勝ち続ける力」の冒頭…

最近書いた将棋関連エントリー

進化する大盤解説会、そしてその中継の可能性 http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20090519/p1 厳しい時代だからこその「文化の力」 http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20090429/p1 「将棋を観る」ということ http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20090422/p1

「シリコンバレーから将棋を観る」、主な書評

若島正氏(毎日新聞) http://mainichi.jp/enta/book/hondana/archive/news/2009/05/20090524ddm015070038000c.html 伊藤直也氏 http://d.hatena.ne.jp/naoya/20090428/1240945409 極東ブログ http://finalvent.cocolog-nifty.com/fareastblog/2009/05/--c177.…