2009-07-11から1日間の記事一覧

金子金五郎語録(8)

手がよく見え、それに激しい性格が加わると独走型の棋風になりやすい。升田はこの種の代表的天才で、その極致に達した人といっていい。しかし天二物を与えずで、思考線が前へ前へ進む結果、いつしか"二人で将棋は造られて行くもの"ということを忘れ、われ一…

金子金五郎語録(7)

新手の意味は棋士によってもっと拡げて「受けの手でも新手は新手」といえるかもしれないが、「升田は主導権を本に対手を支配する意味を含んだものが新手である」と主張していることに注意せねばならない。これは氏の個性の"厳しさ"を物語る。また"厳しさ"と…

金子金五郎語録(6)

升田のような将棋を内面の自己闘争のうちに解決して行こうとする方法は無限に深い道で、これは苦行にも等しい。対手の着手という現実に即応することをすくなくし、自分の頭脳の中で敵の手を造ることは、もはや「敵」でなく「自分の化身」になる。自分の化身…

金子金五郎語録(5)

大山名人の将棋が育った時は関西将棋が関東将棋の合理性を取り入れ、自己のものに消化すべく努力した革命期の時代で、その結晶が升田、大山の将棋である。 この消化――というよりむしろ逆に関東将棋を征服し終って――さらにそれが全棋界の主流となり、そこに東…