北海道新聞3/12夕刊。「「指す」「打つ」だけじゃない 熱い対局、無限の広がり」

「観る将棋」の楽しさについて北海道新聞の取材を受けました。「「指す」「打つ」だけじゃない 熱い対局、無限の広がり」というタイトルで、渡辺竜王のコメントとともに、3月12日夕刊に大きく掲載されました。道新から許可を頂いたので、その一部をここに転載します。

梅田望夫さんに聞く

 −−「観(み)て楽しむ将棋」を始めたきっかけは?

 小学校低学年のころ、父や友達と「指す」ことにまずは熱中。しかし新聞の将棋欄を切り抜き、プロ棋士の対局を観戦記を読みながら並べる楽しみを覚えてからは、なぜか「観る」ほうに強い関心を抱くようになりました。

 −−「観る」と「指す」の面白さは違いますか。

 「指す面白さ」とは、将棋というゲームそのものの魅力。「観る面白さ」は、もう少し別の要素が加わります。棋士の魅力、複雑で難解なものが明快に説明されて理解できる瞬間の快感、一局の将棋の無限の広がりを感じる興奮、一局の将棋に流れる物語や将棋の進化の物語を最高峰の将棋から読み取る楽しさ、将棋界の伝統や文化に日本の素晴らしさを思うこと…僕は「観るファン」という概念を提示、新しいファン層拡大に向け問題提起しています。

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 −−プロの将棋の魅力の根源はどこに?

 人生のすべてを将棋に懸けた二人の棋士が、深い深い読みを一手ごとにぶつけながら、その総体として一局の将棋を彫琢(ちょうたく)していくプロセス、その魅力だと思います。

 −−梅田さんの本業と将棋の活動のつながりは。

 ビジネスと将棋関係の活動は、まったく無関係です。ただ、私の「書く表現行為」の対象として、現代将棋や棋士という人間群像はシリコンバレー、ウェブ進化と並んで非常に興味深いテーマだと考えています。

渡辺明竜王

 梅田さんがインターネットで展開する「ウェブ観戦記」を見て内容が濃いのに感心しました。指し手の内容に深く入るのは最低限にとどめて、盤上以外のところを興味深く見ています。

 だれでも梅田さんのレベルで書けるわけではありませんが、ネットを使った将棋普及に関して新しい道をつくっていただきました。将棋連盟でも独自に、携帯電話を使うサイトの計画が進んでいます。梅田さんの提唱する「観る将棋」、その楽しみ方が広がってくれればと思います。

 自分のブログは、高校を卒業して五段ぐらいの時、少し時間ができたので、「何か文章を書いて発信したい」と思って始めました。その後、竜王位を獲得し将棋界を代表する立場にもなり、そこも意識しています。・・・・・・